郡上八幡城のふもとに広がる城下町には、400年余の歴史が刻まれた趣ある並みが広がり、この城下町ができるのをきっかけに整備された水路が、今も縦へ横へと街を縫うように巡っています。
心地のよいせせらぎの音に耳を傾けながら歩いていくと、藍染の暖簾がかかった「渡辺染物店」に到着しました。
今回の発酵旅でこちらを訪問するきっかけとなったのが、写真の「渡辺染物店」で作っていただいた半纏です。夫は日々この半纏を身につけて仕事をしています。世の中の麹屋は、由緒正しき何百年の歴史を持っていることが多いのに対し、夫は珍しくも麹屋1代目。しかも自他共に認めるラフなキャラ。そんな夫を凛とした風格に仕立てる魔法のアイテムこそが、この「渡辺染物店」の半纏。袖を通せば、キリッとひきしまった深い藍色に包まれ、代々続く麹屋の当主のような貫禄あるオーラを放ちだすのです!
そして、あまり知られていませんが、実は藍染も「発酵」なんですよ!藍の葉に水をかけて発酵・熟成させた染料「蒅(すくも)」を、再び発酵させて染液に。染液の発酵が弱くなると色付きも弱くなるため、1回布を染液に浸けたら約3日休ませるなど、微生物に寄り添いながら染めていくのが伝統的な藍染なのです。