ヌードルライター
山田が行く!――
郡上八幡の麺

文:山田祐一郎(KIJI ヌードルライター)

山田祐一郎さんコラム麺から土地を考える

福岡に住むぼくにとって、岐阜県・郡上市はこれまで縁遠い土地でした。郡上と聞いても何が名物なのかもピンとこない。郡上市が岐阜県内のおおよそ中央にあることも今回の取材の旅で知りました。

だからこそ、わくわくしました。知らない土地で未知なる食べ物との出会いを求める行為は、ぼくにとって最高の贅沢であり、何よりも楽しい時間。かれこれライターとして17年活動してきましたが、初めてのものに出会う喜びは何ものにも代え難いものです。もちろん、ヌードルライターですから、旅の目的地は麺。麺ありきで行き場所を決め、麺を胃袋に入れ、五感で麺を感じることでその土地を知ります。

今回の行き先は郡上市の中でもその中心一帯を指す郡上八幡エリア。郡上八幡のことを調べると、ラーメンや冷麺・温麺の情報にアクセスできました。へえ、冷麺かと思ってもうしばらく調べてみると、蕎麦の店が多いことが分かりました。

蕎麦といえば水。ぼくが暮らす福岡は九州に属していますが、その九州でも名水のあるところに蕎麦の名店があり、何人もの蕎麦職人にインタビューを重ねる中で彼らは「水を求めてこの場所に店を構えました」と言います。もちろん商業が盛んな街中にも名店がありますが、街場の名店の店主も水には細心の注意を払います。

蕎麦の店が郡上八幡に多いということは、水がきれいな場所なんだろうなと思っていたら、まさにその通り。日本の名水にも指定される土地でした。まずは蕎麦で郡上八幡を感じることにします。

山田祐一郎(KIJI ヌードルライター)

1978年生まれ。福岡県の製麺工房[宗像庵]の長男として生まれる。2003年よりライターとしてのキャリアをスタート。雑誌、ウェブマガジン、書籍などの原稿執筆に携わる。毎日新聞での麺コラム「つるつる道をゆく」をはじめ、連載多数。webマガジンその一杯が食べたくては1日最高13,000アクセスを記録したことも。著書「うどんのはなし 福岡」「ヌードルライター秘蔵の一杯 福岡」。2017年スマホアプリ KIJI NOODLE SEARCHをリリース。未知なる麺との出会いを求め、近年では国内のみならず海外にも足を運ぶ。福岡県宗像市在住。2019年自身の経営する製麺所「山田製麺」をオープン。

Photographs by Yuichiro Yamada