郡上八幡・水辺の暮らし
郡上八幡の町には、自然の恵みを暮らしに生かす生活の知恵が培われてきました。用水には川から引き込んだ水が流れ、最後にはまた川に戻り、町全体をうるおします。斜面地では山からの水や湧水を水舟に引き、平地では井戸を掘り地下水を利用しています。上下水道がない時代からある伝統的な水辺の暮らしは、今も大切に受け継がれています。
堰(セギ)板
セギ板とは、用水路の水を堰止めるために使う木製の板で、古い町並みのエリアである柳町や職人町、鍛冶屋町の用水路で多く見られます。用水路に設けられた溝に「セギ板」を差し込むと、一時的に水位があがり、水が使いやすくなります。そこで洗いものや花の水やりなどに利用し、さらには火事の際の初期消火にも利用されます。また、水の流れを変えて家屋の中に引水し利用する光景も見られます。
洗い場
用水では洗い場、川ではカワドと呼ばれる足場。昔は洗濯をしていましたが、今ではすすぎや、野菜を洗うのに使われています。洗い場に集まり、おしゃべりをする社交の場としての役割もあります。
消火用バケツ
山間に家が密集する郡上八幡の町は、過去に二度の大火に見舞われました。現在でも人々は防火意識が高く、家の軒下には防火用のバケツが吊り下げられているのを目にすることができます。「職人町・鍛冶屋町」「柳町」など、町によってバケツのデザインが異なるのも目を引きます。