和歌の里
「古今伝授の里
フィールドミュージアム」
めぐり
和歌文学館
大きな窓が開放的な雰囲気の、自然に囲まれた「和歌文学館」は、和歌に詳しくない人でも視覚的に楽しむことができる回廊型の展示館です。1Fの展示室では、『万葉集』の時代から現代までの約1300年間を10枚のパネルで分割し、柿本人麻呂から斎藤茂吉まで各時代を代表する歌人を通して文学通史を紹介しています。2Fへ上がると、ガラス窓からの光が印象的な開けた展示室へ続きます。高さ2.4m、長さ36mに渡って描かれた壁画「古今和歌集絵巻」は、『古今和歌集』の代表歌を絵巻で紹介しています。これを一通りたどれば、もっとも簡単な古今伝授を受けたことになります。他にも、短歌の企画展やフォーラムなどが随時開催され、古典から、現代短歌に至るまで多角的な和歌の世界に触れることができます。
篠脇山荘
一部に茅葺を残した、鉄骨造り銅板葺きの建物です。元の屋根は茅葺でしたが、経年変化による茅の傷みにより、2014年に銅板葺へと葺き替えが行われています。熟練の職人技によって、茅葺屋根の持つ緩やかな曲線(むくり)を銅板葺きで再現し、濡れ縁からは、かつての茅葺を垣間見ることができます。
室内は、日本家屋特有の、光の陰影が作り出すドラマチックな空間。ガラス越しの紅葉や梅の花が季節を感じさせ、濡れ縁からは、眼前の池に映りこむ篠脇山が印象的。歌会、茶会、書や絵画の展示会、小会議など多目的に利用されています。貸切での使用がない場合は、無料で一般開放しています。
東氏記念館
東氏館跡から出土した膨大な発掘品や、古今伝授関係史料、天皇が詠まれた和歌などが展示されています。代々和歌を嗜んだ東氏と、古今伝授の歴史について、映像と音声で分かりやすく紹介されています。
また、館内には東氏の居城であった「篠脇城」の想像図や立体模型などがあり、かつての山城のイメージを具体的に膨らませることができます。「篠脇城跡」の散策に出かける方は、まずはこちらに立ち寄って理解を深めると良いでしょう。
古今伝授の里フィールドミュージアム
古今伝授の祖・東常縁って
どんな人物?
東常縁(とうのつねより)は、鎌倉時代から室町時代にかけて郡上を治めた、東氏一族の9代目の武将であり、「古今伝授の祖」と呼ばれる優れた歌人でもありました。常縁の和歌に関する有名なエピソードとして、美濃国守護土岐氏の守護代斎藤妙椿(みょうちん)と和歌のやりとりをして、奪われた城と所領地を取り戻したということが伝えられています。
世は、応仁の乱。常縁が関東での戦に出陣した留守中、常縁の兄が守備する篠脇城は、奇襲攻撃をかけた妙椿らの軍勢により攻め落とされてしまいます。城を奪われた常縁はその悲報を武蔵国(現在の埼玉県)で聞くと、『あるがうちにかゝる世をしも見たりけん人の昔の猶も恋しき』と嘆きの和歌を詠みますが、その和歌が都で評判になり、常縁に対する同情が広がったといいます。
その時には敵味方に分かれていた常縁と妙椿ですが、平時にはお互いに和歌を詠みあう間柄であった二人。常縁の歌に心を動かされた妙椿は、「歌を贈ってくれれば、領地を返してもよい」と人を介して伝え、関東にいた常縁から10首の和歌が届けられ、妙椿は約束通り城と所領地を返還。戦乱の時代に血を流すことなく、城と所領地が返還された出来事となりました。このことは軍記物語「鎌倉大草紙」に紹介されています。常縁と妙椿、二人の文人武将の心を感じる映画のようなエピソード。現代よりも文化が力を持った当時としても、稀有な出来事でした。
大和文化財収蔵・展示館
東氏記念館の横にある、大和文化財収蔵・展示館では、この地域の石器時代から中世にいたるまでの出土品、宝暦騒動(郡上一揆)をはじめとする古文書、近代の文書類など、旧大和町の文化財(現・郡上市指定文化財、一部岐阜県指定文化財含む)が収蔵、展示されています。膨大な展示品を眺めながら、この地の歴史・文化の深さを辿ることができる貴重な展示館です。
短歌図書館 大和文庫
東氏記念館に隣接する、日本でも珍しい短歌専門文庫「大和文庫」には、全国の歌人から寄贈を受けた歌集・歌論集や結社誌、古今和歌集・古今伝授関係を中心とした和歌文学の研究書が所蔵されています。開館時間中は無料で入館することができます。
短歌の里交流館よぶこどり
(カフェ・ミュージアムショップ)
「短歌の里交流館よぶこどり」は、カフェ、ミュージアムショップ、島津忠夫文庫などの複合施設です。「よぶこどり」とは、「ももちどり」「いなおほせどり」とともに、古今伝授の秘伝である「三鳥」のひとつ。「友を呼び集める」という意味の通り、たくさんの人が立ち寄り、集まる施設です。ミュージアムショップには、絵葉書や便箋、地元のお土産品をはじめ、手作りの雑貨なども販売されています。高い天井が開放的なカフェでは、地元のお母さんたちが地産の野菜を使って作るモーニングや、手作りのお惣菜がたっぷり食べられるランチなどの軽食、お抹茶と甘味のセットなどが楽しめます。周囲の山々を眺めることができるテラス席もあり、散策に疲れたら是非立ち寄りたい、ほっと一息つける施設です。
短歌の里交流館よぶこどり
島津忠夫文庫
国文学者であり、古今伝授の里フィールドミュージアムの文学顧問でもあった島津忠夫氏(大阪大学名誉教授)の蔵書の寄贈を受けつくられた文庫「島津忠夫文庫」は、短歌の里交流館よぶこどり内にあり、書架の図書や資料は自由に見学することができます。島津忠夫氏は、和歌や連歌などの古典文学、文学史が専門の国文学者でありながら、自らも短歌を詠んだ歌人、現代短歌評論家としても知られています。寄贈された書籍からは、その研究、関心の幅広さをみてとることができます。
レストランももちどり
「レストランももちどり」は、「古今伝授の里フィールドミュージアム」内の大きな池のほとりに佇むフレンチレストランです。ガラス張りの開放的な店内では、季節ごとの景色を堪能しながら、地元の食材を知り抜いた、地元出身のシェフによる本格フランス料理を楽しむことができます。店名の「ももちどり」は、さまざまな鳥たちが集いさえずる様を意味する、古今伝授の秘伝のひとつである鳥の名前から命名されたもの。初夏には瑞々しい新緑、秋には色とりどりの紅葉と、池の水面に写る美しい景色を目で味わいながら、本格フレンチを楽しむことができます。ワインリストも充実しており、記念日にはケーキの予約も可能です。気のおけない友人やご家族と、ここでしか味わえない特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょう。
レストランももちどり
国名勝 東氏館跡庭園
篠脇山の麓に広がる国名勝「東氏館跡庭園」は、東氏が篠脇城を居城とした230年余りの間、彼らの生活の場であった館跡です。昭和54年(1979年)ほ場整備中に偶然発見され、翌年から4年間にわたる調査の結果、東氏の生活に使われていたとされる多数の陶磁器片や、建物の礎石、さらには池泉の石組みがほぼ完全な形で発掘されました。また、園内には『古今和歌集』や『新古今和歌集』に詠まれている花木が植栽され、四季折々の景色が楽しめる憩いの場となっています。中でも「ぼたん園」には、およそ1,500株のぼたんが植えられ、5月上旬に見頃を迎えます。
国名勝 東氏館跡庭園
「AR」ガイドアプリで、
東氏館跡庭園をもっと楽しむ
東氏館庭園跡では、令和2年(2020年)5月からスマートフォンアプリを使ったARガイドを導入しています。庭園内に20カ所設置されているマーカー(下記のアプリで撮影)または、QRコードを読み込むと、目の前に広がる景色や、ものにまつわる物語を、動画や音声で楽しむことができるサービスです。庭園内はWi-fiを完備しており、スマートフォンさえ持っていれば誰でも利用できます。
住所 | 〒501-4608 岐阜県郡上市大和町牧912-1 |
---|---|
電話番号 | 0575-88-3244 |
駐車場 | 古今伝授の里フィールドミュージアムを利用 (普通車200台、大型も可能) |
アクセス | ぎふ大和I.C.から7分 |
国名勝 東氏館跡庭園
古今伝授の里フィールドミュージアム
住所 | 〒501-4608 岐阜県郡上市大和町牧912-1 |
---|---|
電話番号 | 0575-88-3244 |
定休日 | 火曜日(祝日の場合は翌平日)、12/29~1/3 |
営業時間 | 9時〜17時(12月〜3月は10時〜16時 ※施設により異なる) |
公式サイト | http://www.kokindenju.com/ |
古今伝授の里フィールドミュージアム