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奥の奥

奥の奥

長良川鉄道徳永駅を降りて、タクシーで豆腐料理「奥の奥」へ。山沿いの家の軒先には花が咲き、窓からの景色が楽園のようでうっとりしてるうちに「奥の奥」に着きました。

事前に手にした「奥の奥」のパンフレットには「此れより先、行き止まりなり。」と記載がありますが、本当にその通り。美しい景色の先に、出迎えてくれるように「奥の奥」がありました。

大和・奥の奥 豆腐料理編4
大和・奥の奥 豆腐料理編5

笑顔で対応して頂いた筧紀子さんに案内いただき、さらにお店の奥の奥へと入ります。お座敷に上がると窓から清流が見えました。

囲炉裏でお茶を出していただき、くつろいでいると「ご準備できました。そろそろ固まってきたので、こちらへどうぞ」と、何を準備していただいたのか、胸踊りつつ向かうとそこには湯けむりが!

大和・奥の奥 豆腐料理編6
大和・奥の奥 豆腐料理編7
大和・奥の奥 豆腐料理編8
大和・奥の奥 豆腐料理編9

大きな木箱の蓋を開けると、一面、豆乳!なんと、目の前で出来立ての湯葉をすくい、食べられるとのこと。湯葉好きな私もこれは初体験。箸でつまみあげるのがなんとも楽しいこと!すーっと、薄い湯葉をすくいあげてはポン酢をつけていただきます。
女将が「このあともコース料理が続くので食べすぎないように注意してくださいね」とにこやかにアドバイスいただき、奥に消えて行きました。

大きな木枡は、細かく仕切られ、一口サイズで湯葉が食べられるようになっています。手前を引き上げると、またその隣に湯葉ができ、一周したころには最初の場所の湯葉ができて、また食べる。楽しくて美味しくて、すっかり女将のアドバイスを忘れ、箸が止まりません。

そんな私たちに気付いたか「次はこちらへどうぞ」とお声がかかり、最初のお座敷に戻ると、卓上に一面のご馳走が!

大和・奥の奥 豆腐料理編10

清流で育った鮎と、かわいらしい引き出しが3段。開けていくと、ここにも豆腐の世界が詰まっていました。奥の奥名物の「いぶり豆腐」、高山市あたりの郷土食「こも豆腐」の味噌漬や凍み豆腐のカレー風味素揚げ、野菜と炊き合わせた卵を巻いたものなど。田楽には「郡上みそ」の味噌だれが。

大和・奥の奥 豆腐料理編11
大和・奥の奥 豆腐料理編12
大和・奥の奥 豆腐料理編13
大和・奥の奥 豆腐料理編14

こんなに美味しい豆腐料理をいただいたらお酒を頼まないわけがありません。こちらも奥の奥名物の「どぶろく」。昔ながらの方法で作られているため、どろっとした口あたりで濃厚です。白と紅の2種類があり、色の違いは麹の種類の違い。紅麹の方が甘みがあります。

大和・奥の奥 豆腐料理編15

美味しいお料理に、この楽しいシチュエーションのお店を作った初代はどんな方だったのか、どぶろくをいただきながら女将にお尋ねすると、楽しいことが大好きな方で地域の人たちに助けられて成長したと、いつも感謝されてたそう。この大和町の母袋(もたい)地区には「いぶり豆腐」という、大豆を石臼でひいて豆腐をつくり、囲炉裏の上に網を置き豆腐をのせて燻した豆腐がありました。冠婚葬祭や正月などに、煮物などにし、水分がないので保存食でもありました。

初代は、この郷土食を残したい、そして雪の多いこの町の冬の雇用も増やしたいという思いから、豆腐屋を作ったそうです。今は、豆腐に味噌を塗り一晩寝かし、乾燥、燻製と3日間も手間をかけて「燻り豆腐」を作り続けています。元の豆腐は「母袋豆腐」と言われ、煮物にも合う昔ながらの木綿豆腐でどっしりしています。

どぶろくは、町内の麹屋に依頼して麹を作り、お米も自家製、地下水で仕込むどぶろくは100%郡上生まれ。初代も2代目も、惜しみなく技術を伝え、今では町内の3軒で、それぞれの個性を活かしたどぶろくが作られています。

大和・奥の奥 豆腐料理編16
大和・奥の奥 豆腐料理編17

このあとも、豆腐料理は続きます。シンプルに味わう母袋豆腐、湯葉、豆乳茶碗蒸しなど。

大和・奥の奥 豆腐料理編18
大和・奥の奥 豆腐料理編19

シメは、2代目のお母さんが作られた、エゴマたっぷりのごはんに郡上みそ汁。
豆乳のデザートで満足、満腹です。

大和・奥の奥 豆腐料理編20
大和・奥の奥 豆腐料理編21

川のせせらぎを聴きながら、こんなに豆腐料理が楽しめるとは。奥の奥まで伺った甲斐がありました。そっと、独り占めして通いたいような、でもみんなにも教えたいような、そんな素敵な店でした。最近、ご近所にゲストハウスもできたそうで、奥の奥のあとゆっくり泊まるのもいいですね。

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minokamo(長尾明子)

岐阜県美濃加茂市出身。郷土食研究家、写真家、挿絵家。子供の頃、祖母の家で、「祖母と一緒に作った料理」の記憶から、料理で楽しく人と繋がることをテーマに、その地に根ざした食材で料理提案、イベントも開催、プロデュースする。各媒体でのレシピ提案、道の駅メニュー開発、全国の郷土食取材では、撮影、文章、撮影、アレンジレシピ作成も手がける。写真家としても活動、料理、スタイリングはもちろん、コミュニケーションを通して楽しい輪作りを行う。岐阜新聞で季節の料理連載中。

Photographs by minokamo