
FOR NEXT 100 YEARS 【イベント報告】【大雪郡上】POW×GOE「奥美濃で雪について皆で考える夜」
3月8日に高鷲町ダイナランドスキー場で、イベント『大雪郡上』〜奥美濃で雪について皆で考える夜〜を開催しました。このイベントでは、白馬エリアのスキーヤーやスノーボーダーを中心に、気候変動問題に取り組む団体「POW JAPAN(Protect Our Winters Japan)」さんを招き、気候変動のメカニズムやその影響について学びました。また、地域やスキー場がどのように対応できるか、私たち一人ひとりができるアクションについても考える機会となりました
2024-25シーズン、郡上は10年ぶりに豊富な降雪に恵まれましたが、近年の暖冬による雪不足は地球温暖化が原因とされています。このままでは、冬季の平均気温が上昇し、「雪が降らない冬」が当たり前になるかもしれません。50年、100年後には、「昔はこの辺りも冬には雪が降り、スキーやスノーボードという雪遊びが楽しめたんだよ」という日が来るかもしれません。実際、ヨーロッパの一部ではそのような状況が既に現実のものとなっています。
このような状況に対して、最近国内では北海道ニセコや長野白馬エリアなどで、ローカルのスノーボーダーやスキーヤーたちを中心に、気候変動や持続可能な雪山運営についての啓発イベントが積極的に行われています。これらの地域での取り組みに共感した奥美濃の有志たちも、何らかのアクションを起こしたいという意識を持ち、この日のイベントの開催に至りました。




イベント当日、会場となったダイナランドスキー場は、電力会社に働きかけ、その日の電力を全て「ぎふ清流Greenでんき(岐阜県産のCO₂フリー電力)」に切り替え、再生可能エネルギー利用の運営を実現しました。これは岐阜県内のスキー場では初の取り組みとされています。


トークセッションの中で支配人も自ら話されていましたが、そもそもゲレンデというのは自然環境に対して負荷をかけながら運営してきているものだと。そして、今まで通りのやり方ではだめだということをスキー場自身も理解し、今回のアクションに繋がっているのです。

イベントは18:00に開始されましたが、子どもから大人まで約120人の参加者が集まりました。参加者の多くは岐阜県内からでしたが、三重県や富山県から来た方もいました。POW代表の小松さんによるプロジェクターを使用した「環境プログラム」は、子どもたちにはところどころ難しい話もありましたが、終始熱心に聞いている様子が非常に印象的でした。




現在、気候変動に対して各国が2050年目標を策定し、CO2の削減に取り組んでいます。この流れの中で、「このエリアで自分たちに何ができるだろうか」という問いに対して、交通インフラの改善や、海外ではすでに乗り合いでの来場者が優先的に駐車場を利用できる事例の紹介など、個人レベルだけでなく、スキー場や自治体レベルでの取り組みが可能なアイデアや建設的な意見が多数出され、会場は時間を追うごとに熱を帯びてきました。
自分たちがいない未来のために今できること、やるべきこと
小松さんの「環境プログラム」の中で、温暖化が始まったのは1850年代の産業革命以降という話がありました。150年以上も前、人類が化石燃料を使い始めた頃から始まったこの温暖化はどんどん加速し、現在の状況を生み出しています。150年以上をかけて作り上げたこの状況を、数年で取り戻すことはできません。世界規模で2050年の温室効果ガス削減目標を掲げていますが、それを成し遂げたとて大きく状況が変わったり、完全に安心できる状態になることはないでしょう。
それでも、私たちは自分自身ができることをやらなければいけない。これは自分のためだけでなく、私たちがいなくなった後の未来のためでもあります。 参加者のお一人が「この状況を作り出したのは私たちの世代、皆の責任なんだ」と、とても重く、そして意義深い発言をされていました。しかし、これは決してネガティブな話ではありません。私たちの世代がこれまで楽しんできた雪山を、次世代にも楽しんでもらえるよう、一人ひとりが意識を持ち、小さなアクションでも積極的に行動を起こしていくことだと思います。






Happyな瞬間と子どもたちの未来がモチベーション
今後取り組むべき様々なアクションやアイデアが話し合われる中で、実際にそれらを実践し継続するモチベーションの元はやっぱり『雪山にあるHappyな瞬間だよね』という意見に参加者は大きく頷いていました。
そう、雪山には沢山のHappyな瞬間がある。だからこそこの瞬間を残していきたい。
そして、そのHappyを受け継いでいくのは次世代の子どもたち。もちろん、私たちも楽しみながら、そして未来の子どもたちのためにアクションを続ける。参加者の皆さんもそれぞれイメージができていたのではないでしょうか。
そして会場での最後はお待ちかねのじゃんけん大会。POWさんのグッズや郡上市環境課の協賛によるエコバッグ、そして目玉賞品である来シーズンのリフト無料チケットをかけた争奪じゃんけんは大いに盛り上がりました。






さらに、雪山が大好きな人達が集まっているのだから当然滑るよね!ってことでナイターを利用したライディングセッション。参加者は10名ほどでしたが、POWメンバーや3人のスノーボードキッズたち(メッチャクチャ上手だった)を中心に夜のゲレンデを楽しみ、イベントのすべてのプログラムが終了しました。





小さいけれども、大きな一歩
これまで、このエリアのスキーヤーやスノーボーダーたちの間で気候変動や環境についての話題が語られることは多くはなかったはずです。そして、前述したように、スキー場が環境に配慮して直接的なアプローチをしたことも、このエリアでは初めての試みです。
そういう意味で、今回のイベントが持つ意味は大きく、貴重な最初の一歩を踏み出した記念すべき日だとも言えます。
しかし、道は始まったばかりです。これから多くの人を巻き込み、手を取り合いながら、自分たちができるアプローチを続けていかなければなりません。
思い切り楽しみながらやりましょう。
我慢ではなく、Happyを広げ、継続するために、それぞれが積極的にアクションを起こしましょう。
今回参加してくれた子どもたちが50年後、自分たちの子どもと一緒に滑りながら「雪山は楽しいやろ〜」と言ってくれる未来のために。

公式インスタグラム @gujo.outdoor.exp