蕎麦正まついざるかおろしの二択にシビれる
向かった先は「蕎麦正 まつい」。開業は2009年9月17日で、岐阜県・犬山にも姉妹店があります。この本店を任されているのは2代目・松井貴史さん。「父は元々、サラリーマンで、いわゆる脱サラで蕎麦の魅力に引き込まれてこの店を開いたんです」と教えてくれました。修業先の高山市「蕎麦正」の屋号を使うことを許され、そこに自身の名を加えたそう。ファサードはモダンな面持ち。エントランス部分は天井が高くなっていて、自ずと気持ちが高揚します。店内はテーブル席のみ。席の間はゆったり設けてありました。
何を食べるべきか。蕎麦には「蕎麦前」という蕎麦を食べる前に、ちょろりと酒で口を湿らせ、酒肴をつまむ粋な文化があります。一方で蕎麦屋はあくまで蕎麦を食べる店とし、蕎麦だけを提供する店も存在します。「まつい」は完全なる後者。しかも、蕎麦の品書きは「ざる」「おろし」のみという徹底ぶりです。メニューには天ぷらの盛り合わせもありましたが、だからといって“天ざる”とは謳わない。こういうのをさらっとやられると、シビれるんですよね。心意気がすでに美味い。