
郡上の踊りの起源
郡上おどりと白鳥おどりは、ともに岐阜県郡上市で400年以上の歴史を持つ伝統の盆踊りです。いずれも江戸時代から人々の暮らしの中で踊り継がれてきました。
郡上おどりは、江戸時代初期に郡上藩が「盆の時期は無礼講で踊ることを許す」としたことをきっかけに広まりました。踊り自体は祖霊を供養するものとして平安時代に広がった念仏踊りが始まりだとされています。武士や町人、農民といった身分を超えて誰もが一緒に踊ることができ、人々の心をつなぐ大切な場として受け継がれてきました。
一方、白鳥おどりは、白山信仰の門前町として栄えた白鳥で発展したといわれています。神社の祭礼や農作業の節目に踊られ、地域の人々の暮らしに深く根ざした素朴な踊りとして続いてきました。変拍子の曲が多く、農民の力強さを感じられる独自のスタイルが特徴です。
どちらの踊りも、ただの娯楽にとどまらず、信仰や暮らし、地域のつながりとともに発展してきた歴史があります。その文化は今も息づき、毎年夏に多くの人々を魅了し続けています。

徹夜おどりって?!
真夏の夜、郡上の町に灯りがともると、通りがそのまま踊りの舞台に変わります。提灯の明かりに照らされ、人の波が町を埋め尽くし、太鼓や唄に合わせて下駄の音が響き渡ります。その熱気は夜が更けるほどに高まり、まさに夏のピークを感じる瞬間です。
徹夜踊りは、その名の通り夜を徹して踊り続ける特別な4日間。人口約3.5万人の小さな町が、踊りを愛する人々で熱狂に包まれます。郡上のおどりを楽しみたい、夏を思いきり感じたい人々が全国から集まり、新しい出会いが生まれるのもこの夜の魅力。
遠い昔から受け継がれてきた日本の原風景がここにあり、日本の夏を全身で味わいたい人にはぜひ訪れてほしい祭りです。夜明けの空の下、まだ続く踊りの輪の中で、時間を忘れるほどの高揚感に包まれることでしょう。

郡上おどりと白鳥おどりの違い
同じ郡上市で行われる郡上おどりと白鳥おどりは、どちらも400年以上の歴史を持つ伝統の盆踊りです。どんな格好でも気軽に参加できる“見る踊りではなく参加する踊り”であり、地域の生活や歴史を唄に込めて踊るという点は共通しています。ただし、開催場所や踊りのテンポ、曲の種類、そしてルーツはそれぞれ異なります。そもそも踊り自体が違うため、単純に比べることはできません。
TABITABI郡上編集部的に言えば、観光客でも気軽に参加しやすく、まず郡上のおどりの雰囲気を体験してみるなら「郡上おどり」がおすすめ。一方で、白鳥おどりは若者も多く集まり、アットホームでローカル感あふれるラフな空気が魅力です。どちらも郡上の夏を語るには欠かせない存在。奥深い郡上の盆踊り文化を、少しずつ掘り下げて楽しんでみてください。
