FOR NEXT 100 YEARS 【イベント報告】長良川クリーンナップラフティング
「100年先も郡上に遊べる川と雪山を残す為に。」をテーマに掲げ、2022年から取り組んでいるプロジェクト『FOR NEXT 100 YEARS』。
このプロジェクトの一環として、郡上市環境課主催、株式会社郡上エネルギーソリューションが主管となり、郡上市アウトドア事業者協議会の協力のもと「クリーンナップラフティングツアー」が開催されました。
この事業は岐阜県の「清流の国ぎふ 海洋ごみ対策地域計画」に基づく海洋ゴミ発生抑制につながる長良川上流部の河川ゴミの除去、市民及び観光客に対するゴミのポイ捨て防止の啓発活動を効果的に行うことと関連して行われたもので、「海に流れ着くゴミは一体どこから発生して、どのように流れて海にたどり着くのか」をその源となる川から考える機会とすることを目的としています。
参加者は全体で61名。住まいは市内が36%、市外64%(岐阜県内42%、県外22%)という構成でした。グループとしては家族連れが70%以上と最も多く、次に友人同士、ついで夫婦やカップルでの参加が見られました。
スタート地点となる河原(美並町くじもと地区)でゴミ拾いを行い、不燃、可燃物合わせて約30kg程度のゴミを回収しました。また、ラフティング開始後も流れの緩やかな場所やゴミの溜まりやすい場所で目に付くゴミを回収し、最終的に回収したゴミの量は50kg近くにもなりました。
最終的にはどれだけのゴミが海に流れ込む!?
河川ゴミに関する意識がクリーンナップラフティング参加後に高まることを推測し、アンケートなどを実施しました。
結果、特に川のゴミに関する意識調査では「すごく気になる」という意見が開催前と後で10%向上しました。
また、「上流域でこれだけのゴミがあるということは、中流、下流域ではもっと多くなりそれらが海に流れ込むことを想像すると恐ろしい」というような意見も見られました。
まるで宝探し☆
ツアー終了後のアンケートで最も多かった意見が「とにかくすごく楽しくゴミ拾いができました」というもの。ツアー中もラフティングボートで川を下りながら、子どもたちがゴミを見つけると「あった、あった!」と大騒ぎ。単に川を下るのとはちょっと違った視点で川を見ることができたようで、その様子はまるで宝探しのようでした。
家族連れの参加者からは「子どもと一緒にゴミのことについて考えることができた」「子どもが環境に対する意識を高めることができた」という意見もあり、堅苦しくなりがちな環境啓発活動も、「楽しんで参加する」ことの大切さをあらためて感じました。
中学校の授業でもゴミを活用
今回のクリーンナップラフティングはゴミを回収しただけではありませんでした。回収されたゴミは、後日、そのまま地元の中学校に移され、1年生の授業の一環として回収されたゴミを分別し、どのような種類のゴミが多く流れているのか、その発生源は一体どこなのかということを検証しました。
事前の予想ではペットボトルや缶、プラごみなど、観光客が山や道路に捨てたものが流れてきている、または釣り客やキャンプ客などが川に直接捨てているという意見が多かったのに対し、実際には衣服や機械類の残骸など、市内の家庭から出ていると思われるゴミが多かったことで、中学生たちは少しショックでもあったようです。そして、自分たちにも目を向け、家庭からのゴミをどう減らすか、どう処分するか、そのためにどう意識付けするかなど、ゴミ削減のための対策について意見を出し合っていました。
山と海の間をつなぐもの
今回の事業のもともとの目的は「海のゴミ」について考えるというものでした。しかしながら、川にあるゴミを拾うことで多くの参加者があらためて気付いたのは、「海も、川も、そして山もつながっている」ということ。
郡上の山の中で、その先にある海に思いを巡らせる。川でラフティングを楽しみながら、山や海のことを様々な世代で考える。これが今回の事業の大きな意味だったのではないでしょうか。源流を含めた流域と河口から海とはすべて関連性があり、その中で山だけが、川だけが、海だけがきれいな状態なんてありえないのです。
私達のテーマは「100年後も郡上に遊べる川と雪山を残すために」。
100年後の未来をデザインするときに、山や川だけではなく、その先にある海も含めたそれぞれがバランスよく保たれている状態もあわせてイメージする。そんなことに気付かされた事業でした。
今後もクリーンナップラフティングは開催していきたいと思います。
川を楽しみながら、山や海のことも考えるゴミ拾い。あなたもぜひ参加してみてください。
公式インスタグラム @gujo.outdoor.exp