郡上の自然で全力で遊び、環境を守る集団「長良川カンパニー」にせまる イメージ

郡上の自然で全力で遊び、環境を守る集団「長良川カンパニー」にせまる

「『長良川カンパニー』ってなにしとるの?」郡上に住んでいると、耳に入ってくる会話です。
「東京から頭のいい人が移住してきて、郡上のためになることをやっとるみたいやけど…難しくてよくわからん」・・・こんな具合です。

好奇心旺盛だけどとってもシャイな郡上の人に代わって、GOE編集部が「長良川カンパニー」に潜入し、代表の岡野春樹さんに直接お話を聞いてきました。そこには、子どものような純粋な動機で、使命に駆られるように行動し、郡上に大きく貢献しようとしている大人たちの姿が見えました。

価値観を大きく変えた
衝撃の夜イカリの体験

まずはじめに、長良川カンパニーを語るうえで欠かせない、岡野さんが経験した「夜イカリの衝撃」という話をご紹介します。

夜イカリとは、夜の暗闇のなかで川に入り、魚を獲る漁法のことなのですが、郡上では昔から”大人の秘密の遊び”として水面下で伝わる伝統的なものです。郡上に来た岡野さんは、川遊びの師匠である由留木さんに誘われて、初めて夜イカリと出遭います。

「水の中、そーっと鮎やアマゴを狙うんです。鼓膜に直接響く音、肌に触れる水の感覚、ライトの視野の中しか見えない暗闇の世界。身体と意識がギューンと一致していく瞬間があって。獲物が獲れたときの高揚感がたまらなくて。今まで味わったことのない特別な体験でした。『なんだこれ!めっちゃ楽しい!』と、夢中になって潜りました。」「郡上に移住して、夏場に夜の川に通うようになってから気づいたのですが、僕は夜な夜なただ遊びに行っているだけなのに、妻や子は父親が魚を獲って帰ってくるので、喜んでくれるんですよ!」と、岡野さんは興奮気味に語ります。

教室や会議室では学べない
森という環境にたくさんのヒントがあった

photo by 下田知幸

春夏秋冬、繰り広げられる自然と密接にかかわる豊かな生活にどんどん魅せられ、日に日に源流域の生活に惚れ込んでいったそうです。

「郡上での様々な体験は、机の上では学ぶことのできない大切なことが詰まっているような気がしました」と話す彼は、この環境を大切にしなければならないという使命感と、この地から学べる本質的な哲学に可能性を感じていました。
そしてなにより、すべての行動の動機となるのが、「楽しむこと」であることに気付いたのです。

机上の空論にならない
特別な体験を提供する

「長良川カンパニー」では、彼の実体験をもとにした全身と五感をフルに使う2泊3日の旅の研修プログラムを都市部のビジネスマン向けに提供しています。自然体験を通して、参加者がそれぞれの視点で感じ、気付き、学び、実生活に持ち帰って生かせるような体験プログラムです。

参加する前は、「こんな田舎にきて・・・」と、斜に構えていた現代社会に疲れた参加者も、源流の水にひたることで覚醒し、本来の自分を取り戻していきいきと蘇り、輝きもパワーも増していくのです。

企業向け源流体験プログラム
~創造性回復の旅~

①「身体性の回復」五感を使い、”感受性の高い身体”を取り戻す。

②「人間性の回復」自身が本来もっている感情や、身体から湧き上がる未来への意思を知る。

③「関係性の回復」水を起点とした森の生態系全体の仕組みを理解すると、他者を感じながら、ともに生きるということを森から学ぶ。

「長良川カンパニー」では、この3つのプロセスをまとめて「創造性の回復」と呼び、人間の本来持っている力を呼び覚ますツアーを提供しています。

この旅を「トランジション ジャーニー~創造性回復の旅~」と呼んでいます。

長良川カンパニーには、森や郡上のことに精通している「源流案内人」と呼ばれるガイドが存在し、一緒になって深くて楽しい源流の旅へといざなってくれます。

森で「遊ぶこと」を通して
環境を「守ること」を実現する

森や源流域で遊んでいると、年々見えてきたこともあるといいます。

「鮎が年々少なくなっている」「雪が減ってレジャー産業が危機だ」などという地元の人の声、「水質がどんどん悪化している」という岐阜大学の先生のデータ、「皆伐跡地が崩れている」という現実が、どんどん気になりはじめます。

「自然と一体となって遊んでいると、どうやってこのフィールドを守っていくかも考えないといけないなって、自然と考えるようになった」と話す岡野さん。

これは、彼だけでなく「トランジション ジャーニー~創造回復性の旅~」を体験した多くの起業家や会社役員が同じような意識を持つようになり、それぞれの分野で新たなプロジェクトが生まれています。

その一つに企業版ふるさと納税を使って動き始めたプロジェクト「源流コモンズフォレスト」があります。企業とともに森を共同管理し、企業規模で森を守る活動です。

企業側は、カーボンオフセットや多様な生物の共存のため、各会社の事業に関連する視点で環境問題に取り組みます。そして、社員は年に何度か源流域を訪れ、自然の中に身を浸して思いっきり「遊ぶ」ことで、直観力や行動力が高まり、また事業の生産性を上げることができるのです。

森を始めとしたフィールドに適切に人の手が加えられることで、生きた状態を保つことができ、源流域に触れた人もまた生き生きとし始める、好循環を生み出すという構想です。

自然とともに暮らす田舎の実情と
長良川カンパニーが起こす旋風

郡上で生まれ、ずっとここで暮らしてきた人は、自然が巻き起こす災害と呼ばれるような摂理とも、いつも共存してきました。豪雪が降る厳しい冬も、「自然のことやで仕方ない。じっと待てばまた春が来る」と、耐え忍んできました。自然の偉大さを知っているからこそ、待つという辛抱強さを身につけたのだと思います。

透き通った川も、山々の新緑も紅葉も、一面の雪景色も、ずっと郡上に住んでいると当たり前すぎてこれがずっと続くものだと思ってしまう。でも、幼少期を自然とともに過ごした人たちは、あの頃との環境の変化に、驚きや戸惑いを隠せません。近年の気候の変化で、この自然の営みは当たり前じゃないのかもしれないと感じた人も多いのではないでしょうか。

そんななか「長良川カンパニー」は、「どうやったらこの遊びを子どもたちに繋げていけるだろう。自分たちになにができるだろう?」と問い続け、具体的な行動を起こしています。
ネイティブ郡上人の叡智と、大学や研究機関の最新の分析、行政の人たちや都市部のビジネスマンらの手法を、彼らと遊びながら結び付け、今までにはなかった先進的な切り口で環境問題に根本から向き合う「長良川カンパニー」、これらがどんな形で交じり合って郡上の自然環境を次世代に繋げていくのか、とても楽しみです。



私たちGOE(Gujo Outdoor Experiences)は、「長良川カンパニー」の活動に賛同し、理念に共感し、この先もともに活動していきたいと思っています!

次回は、「長良川カンパニー」が毎年秋に行っている「源流遊行祭 」という土中環境の改良に手作業で取り組むお祭りや、地域コミュニティで循環させていく「完熟堆肥」について詳しくお話ししたいと思います。

お楽しみに。



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